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もっこすのための熊本愛郷新聞

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2013年 02月 09日

消防団意見発表会

熊本市消防団第三十一分団(春竹校区)団員 鈴木田舜護

消防団の母と呼ばれている松井茂曰く「義勇消防は、その志願の動機が、任意的、義侠心の発露に出たのであるからして、火災時における、出場手当等は之を眼中におかないのが当然である」と。その著書「国民消防」の中で記しております。

この本は大正15年に刊行されたものですので、今日における消防団運用の現実から照らし合わせれば多少の温度差はあるかも知れませんが、一旦緩急あれば義と勇を以て地域に奉仕するという義勇奉公の精神は古今東西に通じるものであり、これからも発展的に守っていかねばならない精神であります。

このことを私が強く感じたのは消防団に入ってしばらく経ってからでした。
昨年の小型ポンプ操法大会でのことです。私の所属する分団から一番員の選手として出場した二十歳の団員は、大会当日あるものを胸ポケットに忍ばせて出場しました。そのあるものとは、彼の父が彼と同じ二十歳だった三十年前にポンプ操法大会に出場して優勝したときのリボンでした。
彼は二年前にその父を亡くし、父の跡を継いで消防団に入りました。そして大会当日、父の名前が書かれたリボンを分団旗から外し、自分の胸ポケットに入れて競技に臨んだのです。
父と同じ気持ちで、父と同じ一番員として毎日のように訓練に励んだ努力が実を結び、大会では我が分団は熊本市消防団の中で最も早いタイムをたたき出しました。

残念ながら優勝こそ逃しましたが、父の遺志を見事に継いで地域の一員として活躍する彼の姿を見て私は心から感動いたしました。

そのように、義勇奉公の精神が親から子へ受け継がれていく消防団の姿をみて、消防団にしかできないとても崇高な使命があることを知りました。

それは、『「国民の生命財産を守る」という精神を守る』という事であります。
私は五年前自衛隊に勤めていました。そのときから「国民の生命財産を守る」という言葉は何度も聞いていました。消防団に入ってからも同じ言葉を何度も耳にしましたが、自分さえ良ければそれでいいという「個人主義」が蔓延している現代に於いては、その言葉さえ何か現実味のない、遠い過去のものと感じてしまう若い人が多くいることも現実です。
この現状を踏まえて、忘れてならないのは、国民の生命財産を守ってゆくための大前提として、『「国民の生命財産を守る」という精神』が守られていなければ地域防災、義勇消防は成立しないということです。
そして、消防団こそが『「国民の生命財産を守る」という尊い精神』を親から子へ、子から孫へと継承し、さらに発展させていくことのできる最大にして最良の組織であると思います。

現在、私が所属している分団は勤続54年を迎える副分団長をはじめ、勤続30年を超える経験豊富なベテランばかりです。しかし残念なことに、分団員の減少には歯止めがかからず、このままの状態でいくと分団が本来持っている能力を発揮できない事態になりかねません。
これからは、輝かしい伝統と、先輩方の精神を継承していくための後継者の育成が我が分団の急務と考えております。私は、分団の若手として友人や、近所の後輩たちに声をかけて一刻も早く消防団の若返りと、団員の充実を図り、さらに次世代へと義勇消防の精神を継承していける盤石な分団にするために一所懸命努力していく所存であります。
事あらば、火にも水にも飛び込む心意気と、魂で地域から信頼されてきた消防団を必ずや子々孫々まで受け継いでいくという強い決意を新たにし、私の意見発表を終わります。

by gendousha | 2013-02-09 07:05 | 自衛隊 国防


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